同じトラブルの対応は、仕事ではない——「根治」が評価されない会社で起きていること

「またあのトラブルか。でも、うちの担当がすぐ直してくれるから助かるよ」

もしそう思ったことがあるなら、一度だけ数えてみてください。その「あのトラブル」、今年何回目でしょうか。

トラブル対応は、目に見える仕事

システム担当がトラブルを直すと、感謝されます。現場は助かり、担当者は頼られ、「あの人がいないと回らない」と言われる。対応は目に見えて、評価につながる仕事です。

一方で、トラブルを根本から直して、二度と起こさなくする仕事はどうでしょう。何も起こらなくなるので、誰の目にも見えません。感謝もされません。それどころか、「最近あの人、何してるの?」となりかねない。

つまりこういう構造です。

  • 対応は見える。根治は見えない
  • 対応は感謝される。根治は評価されない
  • 根治すればするほど、自分の「頼られる場面」が減っていく

この構造の中では、トラブルを根治しないことが、担当者にとって合理的になってしまいます。悪意は要りません。誰も悪くないまま、同じトラブルが毎月起き続けます。

経営に届いていない情報がひとつある

「それは直せます」——この一言が、経営に届いていないケースがとても多いのです。

経営者から見ると、トラブルは「起きるもの」で、対応は「してくれるもの」に見えます。直せるかどうかの判断材料は担当者しか持っておらず、担当者にはそれを言い出す動機がない。情報の非対称が、この状況を固定します。

そして経営的に見れば、同じトラブルの対応は純粋な損失です。止まっている時間、対応している人件費、それが毎月。根治は費用ではなく、繰り返し払っている損失を止める投資です。

処方箋は、人ではなく仕組み

担当者を責める話ではありません。評価の仕組みの話です。やることは3つ。

  1. トラブルを記録する。 種類と回数を書き出すだけで、「同じもの」が見えるようになります。まずはExcelで十分です。
  2. 「対応の速さ」ではなく「再発のなさ」を評価する。 何を褒めるかを変えると、行動が変わります。
  3. 根治した人の次の役割を用意する。 「直したら仕事がなくなる」不安を消すこと。トラブル対応から解放された時間は、業務改善や内製化に回せます。

3つとも、システムの知識ではなく経営判断でできることです。逆に言えば、経営が動かないとこの構造は変わりません。


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